街の最果ても眠りにつく頃
貴方は私を抱き締めて「大丈夫だよ」と呟いた
あたたかいはずの部屋の中で 震える私を宥めるように
貴方はお話をしてくれた
この前見て面白かったアニメの話
職場で嫌われてる変わり者の上司の話
行ってみたいレストランの話
それからそれから…
沢山話してくれたけれど
私達の未来の話はしなかった
いつか終わる 物語
破り取られた本のページみたいに
ある日突然失われる 連続性
「失くなるくらいなら、最初から無い方がいいのに」
そんな言葉が浮かんでは ひとときの温もりに溶けてゆく
貴方がいなくなっても「大丈夫」と思えるには
私の世界は狭くて逃げ場がなさ過ぎた
何度か落としてしまったせいで
見えない罅割れ 壊れそうな硝子
貴方に今 全てを委ねて寄りかかったら
きっと儚く崩れてしまう
割れた愛は月の光を受けて
美しく輝くでしょうか
愛が壊れないようそっと貴方に口づけた
ひととき二人を隠す夜
ホテルの名前は「Fantasy」