自動筆記で書いた小説

シュルレアリスムの手法の一つである自動筆記を用いて小説を書いてみることにした。頭の中に思いついたままに速い速度で打っていこうと思う。アンドレ・ブルトンの「溶ける魚」のような感じで…。

後記

書いている時、名探偵コナンを見ていたので、大分それに引っ張られてしまった…。板橋というワードが出て来てから謎に北池袋が連想されて、そこからは何となく書いていった。改めて読み返すとすごい文章である(何も知らない人が見たらただのヤバい文章)。個人的には面白いけど、文章を書くスピードを早め過ぎると段々と精神的にきてしまうと本で読んだので、たまにだけやることにする。

花の室蘭

それは宝塚だった、雨のようなコナンの世界の様な賢い老夫婦が二人で黒尽くめの男と共に接触していた。ペンは海の色の様に水筒はイヤホンケースのように暗い色をしている。空が滲み始める頃、灯りもオレンジに溶ける。辺りを照らすのはたった一辺倒この灯りだけだった。コインロッカーには光も当たらない。静かに胎児を孕んで眠る箱の中身はシュレディンガーの猫、まだ誰も知らない世界だ。

板橋駅に着いた頃、私はスーツケースを引きずって、中に入っているプログラムは時を静かに刻んでいた。開けてはいけないパンドラの箱を待つ老夫婦は静かにテキーラを塩とレモンでちびちびとやっていた。駅前の美味いカレーを出す小洒落た店、その隣は花の室蘭というふざけた名前の居酒屋だ。テープレコーダーが刻々と私の血液を激らせる。交感神経は眠っているのか。暖かい布団が恋しい。

どうしてこんなことになってしまったんだろう。出世稲荷に拝んでから来たのに、いつもと違うことをしてしまったのがいけなかったのだろうか、善良な小市民はマクドナルドで過ごす無為な時間に焦がれた。有名になりたいなんて大それた夢を見てしまったからか、花の室蘭をチラリとみる。

「それにしても、変な名前」

老夫婦のうちの老婆が呟く。狐に化かされでもしないとこんな名前は付けないだろう。私だったらこの板橋駅で花の室蘭なんてつけないわね。現にそんなに流行ってなさそうだし。私は老婆の一人言に、この小洒落た店も流行ってないけどねと独りごちた。

花の室蘭、どういう意味なんだろう。行ってみたい気がする。今になってはもう行くことは出来ないし、その前に寿命ももう尽きるだろうけど、普通なら建設業経理士の勉強が落ち着いたら行っても良かったかもしれない、外に出て知らない街をエトランゼのように彷徨うのは嫌いじゃないのだ。

私の思考は線路を足音も残さないで駆けてゆく。この場から逃れたい、ただその一心で。救世主を待つ主人公には必ず助けが来るけれど、私には来ない。悪い人は良い顔をしてやってくる。もう逃れられない。

さよならは言いましたか?お腹は減っていますか?今でも愛していますか?視線を感じますか?

何でもないですと私の髪の毛がそよいで、老夫婦は笑った。

「覚悟は出来たみたいね」

「はい」

するしかなかった覚悟に、最後この店のカレーを食べても良かったかななんて考える自分にただ笑いが込み上げるだけだった。

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